こんにちは、キルトメーカーのヒトミです。
当ブランドでは今までウール100%の生地のみを使用してスカートを作ってきましたが、今年より新たにポリエステル/ビスコースの混紡生地も採用しスカートを作りました。(型はどちらも同じです)
ウールは高級素材なので、別の選択肢として実は随分前からポリMIXを導入するか悩んでいました。が、紆余曲折ありこの生地にチャレンジするまでに5年もかかってしまいました。
私をそこまで留まらせていたその理由は”イギリスでの絶対的ウール信者の多さ”です。さすが羊と共に生きる国イギリス。羊さまの権威はそう簡単に崩せません。特に私がスコットランド・エディンバラでお世話になったキルトメーカー界隈ではポリエステルの「ポ」の字でも出せばみなの顔が歪むほど。笑
まあでも実際にキルトを作る際には、ウール生地が圧倒的に縫いやすく扱いやすいです。なぜならキルトは全ての工程を手縫いで仕上げていくため、硬さのあるポリMIX生地よりも、ウール特有のしなやかさや生地の柔軟さは私たちの手にとっても優しいのです。そういう点もあってか、現地のキルトメーカーたちはウール生地以外でのキルト制作はお断りが多いのかと思います。
さて、イギリスの伝統産業をここ極東JAPANの田舎町でちっさくひっそりと受け継ぐ者として、この強固なまでのウール・プライドを守り続けるべきなのか。そんな問いと向き合う日々のなか、わたしが出した答えは「ウールも守ればいいし、ポリも使ってみればいい」という案外シンプルなものでした。
頭を悩ませる私に突如神が問うたのです。「そなたが本当に守りたいものは何なのか。」私にとっていちばん大切にしたいもの…、絶対に譲れないもの…、なんでこのブランドをやっているのか…、理念とは…。それは「スコティッシュ・タータンの魅力を伝えること」やっぱりそこに戻るのです。
*ポリMix生地であれば手が届くということでキルト制作をご依頼くださるお客様との出会いも、私のこころを動かしたのかもしれません。
ウールとポリエステル混紡の違い
さてさて、またしても前置きが長くなってしまったのですが、ウェブサイト上の写真で見る限りでは一見同じように見えるウールとポリエステル混紡ですが、実は結構違う点も多いので、各素材の特性について以下にまとめました。是非、お買い物の際の参考にいただけたら幸いです。
ウール | ポリエステル | |
素材 | 羊の毛 | 化学繊維 |
価格 | 高級 | 比較的安価 |
洗濯 | ドライクリーニング | ドライクリーニング |
見た目 | 艶があり上品 | 発色が良い |
手触り | 柔らかく心地よい | 硬く強度がある |
毛玉 | 多少できる | ほぼ無し |
保湿性/吸湿性 | ◎ | △ |
保温性 | ◎ | ○ |
水濡れ(雨) | △ 特にお湯は縮むのでNG× | ○ そこまで気にする必要無し |
強度 | △ ひっかけに注意 | ◎ |
アイロン | ○ デリケートなため当て布必須 | ○ テカリやすいので当て布必須 |
しわ | ◎ ハンガーかけでほぼ取れる | △ アイロンで伸ばして |
保管 | △ 虫食い注意 | ◎ |
環境 | ◎ 自然に還るが動物愛護の問題も | △ 特に合成繊維はリサイクルが難しい |
ウールは、デリケートなので保管時の虫食いとお湯などで生地を縮ませないことだけ注意。でもしわは取れやすく、あったかく、見た目も上品で、実際に触っていただくと高級品であること一目瞭然です。冬の特別なデートに最適です。
また、ポリエステルには強度があるので、雨の日のディズニーランドに着て行きアクティブに遊んでいただいても、あなたとタータンの可愛さをここぞとばかりに振りかざしていただけるでしょう。シワはおうちに帰ってからアイロンで伸ばしてくださいね。
保管方法ですが、ヒトミキルトメーカーの全てスカートには「プリーツ加工」を施してあるので、どちらもハンガーかけ保管でお願いします。また洗濯に関してもどちらの素材でもドライクリーニングでお願いします。
以上、ふたつの生地について書かせていただきました。